水道水をそのまま注いでいいのか、
はじめに迷ったこと

水耕栽培の水は、水道水をそのまま注いで大丈夫です。 塩素のことが気になって汲み置きや浄水器の水を使う人もいますが、どちらでなくてはいけない、ということはありません。 届いた日の夜、蛇口の前でしばらく手が止まった、その話を書きます。

キッチンのカウンターで、透明な容器に水道水を注いでいる手元

袋から器へ移して、根の下にハイドロボールがおさまって、 あとは水を注ぐだけ、というところまで来て、 キッチンの窓辺の蛇口の前で手が止まりました。 この水を、そのまま入れていいのだろうか。

子どもの頃、金魚の水槽の水はバケツに汲んで一日置いたものを使っていました。 カルキを抜く、と教わった記憶があって、それが根の上にも重なったのだと思います。 根は水槽の魚より、ずっと静かで、ずっと弱そうに見えました。

蛇口の前で、手が止まった

結局その夜は、コップに水を汲んで、窓辺に置いて寝ました。 翌朝、ひと晩おいた水を器に注いで、ようやく一日目が始まった気がしました。 蛇口から直接注げば十秒で済むことに、丸一日かけていたわけです。

それから、コップを一つ多く洗う日々が続きました。 水が減ってきたら、前の晩にコップに汲んで、朝注ぐ。 窓辺にはいつも、植物の器と、その隣に水の入ったコップが並んでいました。 来客に「これは何?」と聞かれて、説明に少し困ったこともあります。

汲み置きの水で、ひと月やってみた

ひと月ほど経ったある朝、コップを用意し忘れていました。 出かける前で時間もなく、迷った末に、蛇口から直接注ぎました。 その日は一日、根のことが頭の隅にありました。

帰って覗くと、根は白いままでした。 翌日も、その翌週も、何も変わりません。 葉の色も、水の減り方も、汲み置きの水を使っていた頃と見分けがつかない。 調べてみると、水道水に残る塩素は、私たちが毎日飲める程度のごく少ない量で、 根に届く頃には植物が気にするほどのものではないようでした。

むしろ気づいたのは、別のことです。 汲み置いて塩素の抜けた水のほうが、器の内側に ぬめりや沈むものが出るのが、少し早い気がしました。 塩素は、水をきれいに保つ側にも働いていたのかもしれません。 それ以来、水は蛇口から注いでいます。

水のことで、ひとつだけ気をつけていること

一度だけ、旅先で買った外国のミネラルウォーターを足したことがあります。 数日後、ハイドロボールの縁に白い粉のようなものが残りました。 硬水のミネラル分が、水が減るたびに縁に溜まっていったようです。 軽くすすげば落ちましたが、それからは水道水以外を入れることはなくなりました。

冬のあいだだけは、少し事情が違います。 蛇口から出る水が手に痛いほど冷たい朝は、 コップに汲んで、部屋の温度になじませてから注ぎます。 塩素を抜くためではなく、根に急な冷たさを当てないため。 理由は変わりましたが、窓辺にコップが並ぶ景色は、冬になると少しだけ戻ってきます。

はじめの頃は、水のことを考えすぎていたのだと思います。 いまは、水を足すのは、飲む水をコップに汲むのと同じ手つきです。 迷っていた時間のぶんだけ、根を眺める時間が長かった、とも言えるのですが。

蛇口からそのまま注げる、ということは、植物を暮らしの道具と同じ場所に置ける、ということだった。

今朝も、水位が少し下がっていたので、蛇口から注ぎました。 十秒で済みました。

Lamasiaの植物は、ハイドロボールの水耕仕立てで届き、やがてお好きな鉢へ植え替えて育てていただけます。

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